◆がんの患者さんにやさしい鍼灸を届けたい***2人に1人ががんに罹患する時代だから「がんと共生する」◆
看護師経験30年の半分以上を、がんの患者さんと関わらせていただきました。緩和ケア病棟では、人間は大きな自然の中にある生き物の一つであると感じました。それは、入院闘病中に天気や気温の寒暖や季節の変わり目などの季節の変化、大潮や干潮などの潮汐(潮の満ち引き)などの影響を大きく受けていたからです。今まで考えもしなかった場面に遭遇し、天人合一思想や心身一如の考え方や季節にあった養生をするという東洋医学に興味を持ちました。
そして、自分の看護の引き出しを増やすことで、苦痛のある患者さんにもっと寄り添い、もっとできることがあるのではないかと考え鍼灸師になりました。
痛みは、体の痛みや心の痛みなど様々です。薬では取れない痛みもあります。訪問看護では足が痛いのに痛み止めだけは飲みたくないと痛みを我慢している方もいました。痛みなどの苦痛は、その方が今まで大事にしてきたことを壊してしまうほどつらいものです。がんを含め病気になると、ご本人やご家族の何気ない日常が一変し、悲しみ怒り憂い恐れ…様々な感情が出てきます。またつらい治療に臨み、心身ともに大きなストレスさらされることになります。クオリティー・オブ・ライフ=QOL(生活の質)を大きく低下させてしまいます。
私も鍼灸師の国家試験前にがんになりました。これから先を考えては涙が出てくる毎日でした。しかし、自分が患者になり得られたことはとても大きく貴重な体験になりました。
まず治療や検査で必要とわかっていても、これ以上身体に鍼を刺されるのは嫌!あとは、身体に自然と変な力が入っているのでしょう。背中をそっと擦りながら暖めるとなんと気持ちの良いことでしょう。絶対忘れません!
病気になって良かったとはいえませんが、今は看護師+鍼灸師としては必要なことであったと思っています。
国立がん研究センター中央病院では1985年からがん医療に鍼灸治療を取り入れています。
WHO(2022)は、「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のクオリティー・オブ・ライフ(QOL)を、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確なアセスメントと対応(治療・処置)を行うことで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。」と定義しています。
◆がんの緩和ケアに鍼灸治療がサポートできること◆
日本では、鍼灸は大きく3タイプ(中医学鍼灸、現代医学的鍼灸、日本伝統鍼灸)に分けられます。
当院は、弱刺激を特徴とする日本伝統鍼灸をしています。また、古くからの自然療法でびわの葉エキスを使った温灸をしています。漢方の先生によると、びわの葉エキスにはアミグダリンが含まれており殺菌、消炎、鎮痛の効果があるといわれています。参加した勉強会では、効能:がん対策や緩和ケア、滋養強壮、疲労回復、喘息、せき止め、肌荒れ、胃腸の不調、下痢、切り傷、腰痛、肩こり、捻挫…なんと弥生時代から伝えられているそうです。
刺さない鍼での施術は、痛くない上に易感染、出血傾向の方も安心して受けていただけます。びわの葉のお灸は電気温灸のため、酸素を使用中の方でも安心です。お体の状態に合わせて脈を診ながら、つらい症状の改善のみだけでなく全身にアプローチしていきます。
鍼灸の適応症は、がんの患者によく見られる症状と一致します。
【中等度の痛み、だるさ、こり、四肢の冷え、しびれ、膨満感、悪心、嘔吐、食欲減退、便秘、咳嗽、息が苦しい、不安感、いらいら、のぼせ、不眠、元気が出ない…】
また、鍼灸治療で白血球を増やすことができるため治療に向かうサポートができます。
他に血流の改善、内臓の働きを良くする、自律神経を調整することで免疫の向上の一助になります。
看病をされているご家族様の、つらい症状に対してもサポートしていきます。ご家族様ご自身のお身体も大事にしてください。
がんになり、心身ともにお悩みの方、再発予防を考えている方、ご相談ください。